嚥下障害(のみこみ障害)外来について

  • 投稿日:
  • by

平成23年の日本人の死因は1位が悪性新生物、2位心疾患、3位肺炎と肺炎が第3位に浮上しています。脳卒中などはそれより低いということになります。そして高齢者の肺炎の原因のほとんどが誤嚥による肺炎だと言われています。皆様の中に最近は「食事中やむせやすくなった」とか、「食後や夜間に咳の回数が増えた」「唾液にむせて声がかすれる」などの症状がある方はいませんか?自分の知らない誤嚥を起こしている可能性があります。

ご存じの方も多いと思いますが、嚥下とは食べ物を口腔から胃まで飲み込むことをいいます。その過程は脳での認知機能、歯や舌を介しての口腔期さらには咽頭期、食道期と至りますがどの部分が障害されても嚥下が困難になり誤嚥をひきおこす原因となります。また、どの部分だけの障害とはっきり分けられず、全体の過程が障害されていることもありプロセスモデルと呼ばれています。

さて、当院ではこれらの嚥下障害による肺炎の予防や治療を目的として、実際に食事を食べている状態を内視鏡やレントゲンで観察する嚥下機能検査を導入しています。5年前から始めた外来ですが現在では入院中の患者を含めて年間240症例を超えています。このうちほとんどが嚥下造影検査(VF)と言ってレントゲン透視下で行う検査ですが、色々な形態の食事を食べていただく様子を観察することで嚥下障害の原因の特定だけでなく、その結果からどうしたら継続して食事を楽しめるかについて、医師としての観点からだけではなく看護師、言語聴覚士そして管理栄養士らとチームを組んで検討します。そしてその内容を患者さん本人だけでなくサポートしているご家族さん達に十分に説明しお話する機会を設けました。実例を幾つかあげていきますと、これまでご飯を食べる度にむせ発熱を繰り返していた患者さんでしたが一口一口の合間にお水を飲んで頂くようにお願いしただけですっかり熱も出さなくなりました。他院で入院中からどろどろの御粥しか食べてはいけないと言われていた患者さんが検査の結果からお米をむしろ硬くして7分粥にしたことで嚥下がよくなり元気になったケース。さらに食べる時に姿勢を少し工夫しただけで食べられるようになったこともありました。画像を見ながらお話できるので皆様分かりやすいと評判です。

今日は嚥下障害外来についてのご紹介させて頂きました、私も最近になって食事中にむせることが多くなり、姿勢を正して一口一口味わって食べることにしていますが、私の毎朝のご馳走である納豆卵ご飯ではついかき込んでしまいますね。