PM2.5から身を守るために (其のⅠ)

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PM2.5は直径2.5μm以下の微粒子の総称で、粒子が小さいために人間の気管支で除去されずに肺胞などに達して炎症を起こし、気管支炎やぜんそくなどの呼吸器疾患への影響が心配されるほか、肺がんリスクの上昇も懸念されています。中国では2013年1月頃より北京市を中心にPM2.5による大規模かつ深刻な大気汚染が断続的に発生するようになりました。その影響はわが国にもあるようで、西日本の広い範囲で環境基準を超える濃度が計測されています。ではPM2.5による健康への影響はどれくらいででるのでしょうか。環境基本法による環境基準値では長期基準で1年に15μg/m3以下かつ一日平均35μg/m3以下であることと示されていますが、健康への影響が出現する可能性が高く迅速に何らかの対応が必要となる基準は一日平均で70μg/m3以上、一時間値が85μg/m3を超える場合と示されています。何らかの対応、すなわちPM2.5から身を守るたまには屋内対策として不要不急の外出を避け、換気や窓の開封を最小限にすること、さらにはこまめに床に掃除機をかけたり、水拭きしたりすることも必要です。PM2.5の濃度が高い日は、洗濯物や布団は部屋干しにしましょう。外出時対策としてはマスクの着用が不可欠ですが、花粉症対策などで通常市販されているマスクではPM2.5の粒子は小さすぎて素通りしてしまいますので、小さな粉塵を捕集するためのDS1(防塵マスクの日本国家検定品)やN95(アメリカでの規格で性能を評価した品)以上の規格のマスクを使用することが必要ですが、マスク装着時は隙間が生じないように口鼻全体を完全に覆うように使用しないと、せっかく高価なものを買っても効果がえられません。また帰宅時は屋外で衣服をはたいて、付着したPM2.5をはらってから屋内に入ることや洗顔やうがいをして顔や喉についたPM2.5を洗い流しましょう。ところで、黄砂にもPM2.5μg/m3以下の粒子が含まれます。黄砂はNOX、SOX、硫酸塩や硝酸塩などの環境大気汚染物質と反応しやすいことから、特に発がん性が高くなる可能性が報告されています。

PM2.5の飛散分布予測についは日本気象協会HP「天気ガイド」が参考になさってください。

参考文献

PM2.5の脅威から身を守る 田中 茂 中央労働災害防止協会発行